リアルタイム処理は、不正検知、パーソナライズされたレコメンデーション、ターゲット・マーケティングを強化し、ビジネス成果に具体的なインパクトを与えます。
その昔、人々はテープに手作業でバックアップを取り、データセンター内のある場所に手作業でエクスポートしてバックアップ・コピーを作成していました。
しかし、人工知能(AI)、機械学習(ML)、生成AI時代におけるデータ処理は、大規模な事業です。
企業が大量のデータに取り組む中、AWSとAerospikeの共催でシンガポールで開催された「Real-time database to build your AI future(AIの未来を構築するリアルタイム・データベース)」カンファレンスの専門家は、これらのテクノロジーが組織のリアルタイム・データ処理の効率化にどのように役立つのかについての洞察を共有しました。
生成AIの課題とチャンス
生成AIは、既存のデータや情報を元に、新たなデータや情報、コンテンツをアウトプットする人工知能の一つです。
学習したデータからパターンを抽出し、それを基にして新しいテキスト、画像、音声、動画などを生成することができます。
生成AIには、信頼の欠如、偏ったデータ、知的財産権に関する懸念などの課題がある一方で、生産性と顧客体験を向上させる可能性があるという点に注目が集まりました。
AWS シニアスペシャリストソリューションアーキテクトのGururaj Bayari,氏は、偏りのない多様なデータセットでモデルを効果的にトレーニングすることで、これらの課題を軽減できると言います。
またAveekshith Bushan, Vice President for APAC in Japan at AerospikeIBM Singapore CTOのPurushothama Shenoy氏によると、組織が現在生成AIで経験していることは、ほんの始まりに過ぎません。
5年後には、人々は銀行のウェブサイトではなく、WhatsAppのような会話型AIアシスタントを通じて取引を行うようになるだろう、と彼は予測しています。
「銀行の例に考えてみましょう」
とShenoy氏は言います。
「自分に最適なクレジットカードを調べたい。ですから、自分自身について詳細を話します。
私は旅行好きなので、旅行の特典やポイントが欲しいのです。
そして、私に適したカードを勧めてくれるはずです。」
「その後私は、『このカードが気に入りました』と言いますが、別のウェブサイトに行ってこのカードに申し込みたくはありません」
と、同氏は続けます。
「私は同じ会話型AIインターフェイスで全体のプロセスを続けます。
『このカードが気に入りました。その場でこのカードを申し込みます。』
と言い、同じ会話型インターフェースを使用して申し込み、そしてカードを受け取ります。
そこで、Aerospikeのような企業が有利になるとShenoy氏は付け加えます。
Aerospikeのようなデータベースは、膨大な顧客ベースとすべてのプロファイル情報を準備し、ユーザー・キャッシュに保存しているため、毎回バックエンドに問い合わせる必要がなく、より迅速な対応が可能になる、と彼は説明しました。
それだけでありません。
「カードを手に入れたら、それを有効化する必要があることは皆さんご存知の通りです」とShenoy氏は続けます。
「今日、私は銀行のデジタル・サービスにログインし、カード番号を伝え、アクティベーション(有効化)をクリックする必要があります。
しかし、私は同じ会話型インターフェースを使うでしょう。
『カードを受け取ったので有効化したいです』
と言います。
ですから、生成AIを使った会話型AIインターフェイスでのユーザー体験は、顧客の立場からすると、より経験豊かなものになるのです。
それが私たちが手にする未来です」。
生成AIにリアルタイムデータベースが必要な理由
生成AIにリアルタイムデータベースが必要な理由は、主に5つ挙げられます。
リアルタイムデータの活用
生成AIは、常に最新の情報やトレンドを反映したコンテンツを生成するために、リアルタイムのデータを活用することが重要です。
リアルタイムデータベースは、生成AIに最新のデータを提供することで、現在のイベントやユーザーの行動に基づいてコンテンツを生成することができます。
高速な応答と処理能力
生成AIアプリケーションは、ユーザーのクエリやリクエストに対して迅速に反応し、生成されたコンテンツをリアルタイムで提供する必要があります。
リアルタイムデータベースは、高速なデータアクセスと処理能力を提供し、この要求を満たすことができます。
パーソナライズされた顧客体験の提供
ユーザーの行動や好みに基づいてパーソナライズされたコンテンツを生成するためには、リアルタイムのユーザーデータが必要です。
リアルタイムデータベースでは、ユーザーの最新の行動や嗜好を追跡し、それに基づいてカスタマイズされたコンテンツを生成することができるので、より顧客の好みに合った顧客体験を提供することができます。
動的コンテンツの生成
ソーシャルメディアのトレンド、ニュースイベント、市場の変動など、動的な環境において適切なコンテンツを生成するためには、リアルタイムデータが不可欠です。
リアルタイムデータベースは、これらの変化に迅速に対応し、関連性の高いコンテンツを生成するのに役立ちます。
スケーラビリティと柔軟性
大量のデータと多様なデータソースを扱う生成AIアプリケーションにとって、リアルタイムデータベースはスケーラビリティと柔軟性を提供し、成長するニーズに対応することができます。
生成AIに必要な低レイテンシーと高スケール
これらのニーズに重要な役割を果たすのがAerospikeです。
生成AIはチャットボットや音声アシスタントなど、ユーザーとリアルタイムでの対話や応答が求められます。
低レイテンシーにより、アプリケーションが迅速に反応することで、自然な対話体験をユーザーに提供することができ、顧客満足度の向上に貢献します。
また、生成AIは大量データを処理し、複雑なモデルを実行することも求められます。
そのため、高スケール機能はこれらの要求に対応し、システムのパフォーマンスを維持するためには必要不可欠です。
リアルタイムアクセスと俊敏性を重視
企業がこれらのテクノロジーを統合するにつれて、どのような新しい道が開かれるかは時間が示すことになります。
「今まさに進化の途中です」
とAerospike APAC in Japan, Vice PresidentのAveekshith Bushanは言います。
「しかし、人間的要素がまだ欠けていると思います。
つまり、生成AIの創造的側面はまだ長い道のりがあるということです。
これは私たち全員にとって仕事などの面で良いニュースです。創造的要素は時間がかかるでしょう。」
このブログは、2024年3月20日のブログ「Navigating the genAI era: Opportunities and challenges」の翻訳です。