AEROSPIKE

お問い合わせ
< BLOGに戻る

ナレッジグラフとは?AIとの関係や特徴について解説

  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram
  • note
  • Qiita

私たちの周りには膨大な情報が存在していますが、それらの情報を有機的につなぎ合わせ、意味のある知識として活用することは容易ではありません。

そんな中、近年「ナレッジグラフ」という革新的な概念が注目されています。

本記事では、グラフデータベースの一種でもあるナレッジグラフがなぜ企業にとって必要とされるのか、AIとの関係やユースケースから紐解きます。

ナレッジグラフとは

ナレッジグラフは、情報や知識を構造化して表現するためのデータモデルです。

実世界の概念、エンティティ、それらの間の関係性を表現し、機械が理解・処理しやすい形で情報を組織化します。

ナレッジグラフの仕組み

情報をノードとして、そしてそれらの関係性をエッジとして表現する、高度に構造化されたデータベースです。

ノードは人物、場所、物事といった情報の「点」や「物」を表します。

一方エッジは、ノードとノードを結ぶ「線」で、関係性を表します。 例えば、「所有する」「住んでいる」「書いた」などです。

Facebookのようなソーシャルメディアプラットフォームを考えてみましょう。

そのプラットフォームでは、データポイントは人々であり、彼らの間の関係は友人または友人の友人です。

ナレッジグラフの特徴とメリット

柔軟なデータ構造

  • 特徴:エンティティ(ノード)と関係性(エッジ)で情報を表現します。
  • メリット:複雑な関係性を直感的に表現でき、新しい種類のデータも容易に追加できます。

意味的連携

  • 特徴:データ間の関係性に意味を持たせることができます。
  • メリット:情報の文脈や背景を理解しやすくなり、より深い洞察が得られます。

推論能力

  • 特徴:既存の関係性から新たな関係を導き出せます。
  • メリット:明示的に格納されていない情報も推論可能で、知識の拡張に役立ちます。

高度な検索と探索

  • 特徴:複雑なパターンやつながりを基にした検索ができます。
  • メリット:ユーザーのより細かなニーズに応える検索結果を提供できます。

データ統合が容易

  • 特徴:異なるソースや形式のデータを統合しやすい構造です。
  • メリット:多様なデータを一元管理し、包括的な知識ベースを構築できます。

高いスケーラビリティ

  • 特徴:分散システムでの処理に適しています。
  • メリット:大規模データセットにも対応でき、性能を維持しながら拡張できます。

視覚化のしやすさ

  • 特徴:グラフ構造を視覚的に表現できます。
  • メリット:複雑な関係性も直感的に理解でき、データの洞察が容易になります。

AIとの親和性

  • 特徴:機械学習やNLPと組み合わせやすい構造です。
  • メリット:AIによる高度な分析や自動更新が可能になります。

不完全データの取り扱い

  • 特徴:部分的な情報でもグラフに組み込めます。
  • メリット:情報が不完全な状態でも活用でき、後から補完しやすいです。

コンテキストの保持

  • 特徴:データ間の関係性を保持したまま情報を表現します。
  • メリット:情報の背景や文脈を失わずに管理・活用できます。

そのため、ナレッジグラフは検索エンジン最適化(SEO)、レコメンデーションシステム、質問応答システム、データ分析と予測、知識管理システム、人工知能や機械学習の基盤技術の分野で有効です。

ナレッジグラフがAIに有効な6つの理由

ナレッジグラフはなぜAIに有効なのか、6つの理由を解説します。

文脈理解の向上 

AIにとって、単語や文章の意味を正確に理解することは大きな課題です。

ナレッジグラフは、単語間の関係性を明示的に示すことで、AIの文脈理解能力を大幅に向上させます。

例:「バッグ」という言葉が出てきたとき、それが「ハンドバッグ」なのか「ゴミ袋」なのかを周囲の文脈から判断できるようになります。

推論能力の強化 

ナレッジグラフは、既知の情報から新たな知識を導き出す推論の基盤となります。

例:「AはBの一種である」「BはCの特徴を持つ」という情報から、「AはCの特徴を持つ可能性が高い」と推論できます。

説明可能性の向上 

AIの判断根拠を人間が理解しやすい形で示すことは、AI技術の信頼性向上に不可欠です。

ナレッジグラフは、AIの判断プロセスを可視化するのに役立ちます。

例:医療診断AIが特定の病気を提案した理由を、症状と病気の関連性のグラフで示すことができます。

知識の統合と拡張 

様々なソースから得られた断片的な情報を、一貫性のある知識体系として統合できます。

これにより、AIの知識ベースを継続的に拡張・更新することが可能になります。

マルチモーダル学習の支援 

テキスト、画像、音声など、異なる種類のデータを統合的に扱うことができます。

これにより、より人間に近い総合的な理解が可能になります。

例:「りんご」という概念に、テキストによる説明、画像、味の記述など、多様な情報を関連付けられます。

長期記憶と短期記憶の橋渡し 

AIモデルが学習した一般的な知識(長期記憶)と、特定のタスクで必要な情報(短期記憶)を効果的に結びつけることができます。

ナレッジグラフとRAGの関係

ナレッジグラフとRAG(Retrieval-Augmented Generation)は、両者とも高度な情報処理と知識活用を目指す技術ですが、アプローチと特性が異なります。

これらの関係を理解することで、それぞれの強みと、組み合わせることで得られる可能性が明確になります。

ナレッジグラフとRAGの統合

これら二つの技術を組み合わせることで、より強力な知識処理システムを構築できます:

構造化された検索

ナレッジグラフの構造を活用して、RAGの検索プロセスをより精緻化できます。

コンテキスト豊富な生成

ナレッジグラフから得られる関係性の情報を、RAGの生成プロセスに組み込むことで、より文脈に即した回答が可能になります。

動的な知識更新

RAGで新たに獲得された情報を、ナレッジグラフに統合して構造化することで、知識ベースを継続的に拡張できます。

複雑なクエリ処理

ナレッジグラフの推論能力とRAGの柔軟な生成能力を組み合わせ、複雑な質問や分析タスクに対応できます。

マルチモーダル情報処理

ナレッジグラフで異なる種類のデータ間の関係を表現し、RAGでそれらを統合的に処理することで、より豊かな情報提供が可能になります。

説明可能性の向上

ナレッジグラフの明示的な関係性とRAGの情報源提示を組み合わせることで、より詳細な説明や根拠の提示が可能になります。

PayPalから学ぶグラフデータベースの活用

PayPalは毎日数百万件の取引を処理するPayPalでは、複雑な取引関係を分析し、不正を検出する必要性がありました。

しかし、既存のリレーショナルデータベースでは性能とスケーラビリティの限界に直面していました。

いくつかのデータベースを比較し、PayPalは高速な読み書きができ、リアルタイムでの大規模データ処理能力とコスト効率の高いスケーラビリティを持つAerospike Graphを採用。

ノードとエッジの情報をAerospikeのレコードとして格納し、インデックスを活用した高速なグラフトラバーサルとカスタムUDFを用いた複雑なグラフアルゴリズムを実装しました。

結果 、「リアルタイムでの関係分析と不正検出」「数十億のノードと関係性を含む大規模グラフの管理」「ミリ秒単位のレスポンスタイムでのクエリ処理」ができるようになりました。

本事例において、PayPalはAerospikeの高性能とスケーラビリティを活かし、従来のリレーショナルデータベースでは困難だった大規模グラフ処理を実現しました。

PayPalのような大規模金融プラットフォームにおいて、Aerospikeベースのグラフデータベースが不正検出と関係分析に大きな価値をもたらしたことを示しています。

その他具体的な応用例

PayPalの事例以外にも以下のようなユースケースにおいてナレッジグラフは有効です。

  1. 検索エンジンの高度化 Google検索の「知識パネル」は、ナレッジグラフを活用した代表例です。検索キーワードに関連する様々な情報を、意味のある形で提示します。
  2. 対話システムの進化 チャットボットやバーチャルアシスタントが、より自然で文脈に即した会話を実現できます。
  3. 創造的AI 既存の知識を新しい方法で組み合わせることで、創造的なアイデア生成や問題解決が可能になります。
  4. 医療診断支援 症状、病気、治療法の複雑な関係を表現し、より精度の高い診断と治療提案を行えます。
  5. 金融リスク分析 企業間の複雑な関係性や市場動向を分析し、潜在的なリスクを特定します。

Aerospike Graphでできること

Aerospike Graphは、高性能NoSQLデータベースとして知られるグラフデータベースです。

従来のAerospikeの特徴である高速性と拡張性を維持しつつ、複雑な関係性を持つデータを効率的に処理できるよう設計されています。

Aerospike Graphの最大の特徴は、Aerospikeの高速キーバリューストアを基盤としている点です。

これにより、以下を実現することができます。

  • 低レイテンシー:ミリ秒単位の応答時間を実現
  • 高いスループット:秒間数百万のトランザクションを処理可能
  • リニアな拡張性:ノードを追加するだけで簡単にスケールアウト
  • 高い信頼性:自動フェイルオーバーと自己修復機能により、99.999%以上の可用性を実現

さらに、Aerospike Vector SearchによるRAGとAerospike Graphと組み合わせることによって、Aerospike単体でナレッジグラフとRAGの統合が可能になります。Aerospike Vector Searchの詳細は別途情報提供いたします。

Graph Databaseについて、まずはお気軽にお問い合わせください。

こちらの資料も併せてご参考ください。

PAGE TOP